News Release

プリオン病の皮膚の下に入る

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

感染性プリオン蛋白質は致死的な神経変性疾患であるクロイツフェルト・ヤコブ病の原因物質であるが、この蛋白質が患者の皮膚内に検出され得ることが今回報告された。この所見は、プリオン病が皮膚に関わる外科手技によって伝播するという、ありそうになり可能性を浮上させる。クロイツフェルト・ヤコブ病などのプリオン病は、中枢神経系内の蛋白質が折り畳み異常蛋白質となり、正常な蛋白質の構造を有害なものに変えてしまうことで発症する。クロイツフェルト・ヤコブ病は、角膜移植や汚染された手術器具が脳や神経系の組織に接触することで伝播することが知られているが、体内の他の部位における折り畳み異常プリオンの存在についての所見は、これまでほとんど得られていなかった。今回Christina Orruらは、RT-QulCと呼ばれる高感度の検出法を用いてクロイツフェルト・ヤコブ病患者23例および別の神経疾患患者15例の皮膚サンプルを対象に感染性プリオンの探索を行った。その結果、検査したクロイツフェルト・ヤコブ病患者全員において、皮膚サンプルの少なくとも一つ(ほとんどは耳の近位部位の生検で採取された)で感染性プリオンが発見されたのに対して、検査でクロイツフェルト・ヤコブ病が認められない患者では発見されなかった。特記すべきこととして、皮膚サンプル中で検出されたプリオンの量は、脳内に認められる量のほぼ1,000分の1から100,000分の1と少なく、感度の低い検出法では5例のクロイツフェルト・ヤコブ病患者の皮膚サンプルでしかプリオンは検出されなかった。2例のクロイツフェルト・ヤコブ病患者の皮膚を2種類のマウスモデルに移植したところ、プリオン病の発症が認められた。著者らは、プリオン病は通常の接触では伝播することはないと強調し、折り畳み異常蛋白質がどのようにして皮膚内に存在するようになるかを明らかにするためにさらなる研究を求めている。

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