News Release

T細胞応答はデングウイルス感染時において症状の回避を助ける

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

T Cell Responses May Help Dodge Dengue Virus Symptoms During Infection

image: Infographic explaining global burden of dengue virus infection and new findings with implications for vaccine development. view more 

Credit: Carla Schaffer / E. Simon-Loriere <i>et al.</i> / AAAS

研究者らは今回、デングウイルス感染者の臨床症状を予防する免疫応答について新たな洞察を得た。このことは、現在進行中のワクチン開発の取り組みを加速化する助けになると考えられる。世界中の約半数の人は、蚊がデングウイルスを媒介する地域に住んでおり、ほとんどの症例は軽度ではあるものの、重度のデング熱は生命を脅かす合併症を引き起こし、年間に約500,000件の入院が発生し、12,500人が死亡している。一部の人ではデングウイルスがうまく制御されており、感染していないようにみえる(2億9,390万例もの多くの症例で明らかな症状がみられない)。無症状の感染者を発見することは難しいため、デング熱の症状に対する保護が得られるためにどのような免疫応答が重要であるのかは、まだ明らかにされていない。今回Etienne Simon-Lorièreらは、カンボジアのデングウイルスに感染した小児85例(うち9例にはデング熱の臨床徴候なし)のコホートの研究により、無症状の感染に関連する特有の遺伝子発現パターンと免疫的特徴を同定した。臨床症状を発現した人では抗原提示(ウイルス蛋白質の特定の部分を認識することでT細胞が活性化する)と呼ばれるプロセスの活性が低下していた。著者らはさらに、有症状の人では、アポトーシスと呼ばれるプログラム細胞死の経路に関与する遺伝子の発現が低いことを観察した。このことは、無症状の人において過剰な免疫応答を妨げていると考えられるフィードバックシステムが働いていることを示唆している。症状を発現していた研究参加者では、抗体産生性B細胞の成熟に関与する遺伝子の発現が亢進していることも示された。驚くべきことに、炎症性および自然免疫応答(ならびにウイルス量)には、有症状と無症状の小児で差はなかった。著者らによれば、これらの結果を合わせると、T細胞にはデング熱に対する保護作用を助ける役割があることが示唆される。

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