新しい研究によると、銀河間磁場が遠く離れた銀河団をつないでいる可能性があるという。研究では、合体しつつある2つの銀河団をつないでいる「コズミックウェブ(宇宙のクモの巣)」のフィラメント内に、電波を放射するプラズマの巨大なリッジ(尾根の意)が初めて発見されたと報告している。著者らによると、この結果は銀河間空間の広大な領域における粒子加速の通説に反するものだという。宇宙最大の天体である銀河団は、数百から数千の銀河と膨大な量の物質を含んでいる。こうした銀河団間の超空洞に広がっているのがフィラメントであり、巨大なコズミックウェブを形成している。銀河団はフィラメントが交差する所に形成され、宇宙の物体を集めて成長しながら合体する。その結果、磁場や相対論的粒子の放射としてエネルギーが観測できるようになる。同様の磁場や相対論的粒子が宇宙規模で存在するかどうかを確かめるため、Federica Govoniらは合体しつつある2つの銀河団、エイベル0399とエイベル0401の間の領域を、低周波干渉計(Low-Frequency Array、LOFAR)の電波望遠鏡で観測した。銀河団の間に、Govoniらは2つの銀河団をつなぐ低周波電波放射のリッジを検出した。これは、2つの銀河団をつなぐコズミックウェブのフィラメント内に、磁場や相対論的電子が存在することを意味している。この構造は標準的なモデルでは説明できないほど大きいことから、まだ知られていない粒子再加速のメカニズムがあることを示唆している。
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