液剤が何層かの肝癌細胞を殺傷し、化学療法を強化できることが、マウス、ウサギ、ブタ、およびヒト腫瘍サンプルを用いた研究により示された。この液剤は、命を救う肝移植を待つ患者の腫瘍を食い止めるための、安全かつ安価な「橋渡し」を臨床医に提供できる。化学療法は依然として肝細胞癌(HCC)患者の第一選択治療であるが、化学療法薬は患者の5年生存率に大きな影響を与えることはできず、生存率は残念なことに約9%と低いままである。しかし、研究から、肝移植によって患者の転帰を劇的に改善でき、5年生存率を約80%にまで高められることが示された。したがって、肝移植の確保が、医師と早期疾患患者にとって優先すべき重要事項であるが、臓器を入手することは困難なことが多い。その間、臨床医は熱アブレーション(熱で癌細胞を蒸発させる方法)などの局所的な手法によって腫瘍を食い止めるが、これらの手法は資源集約的であり、すべての腫瘍に適用できるわけではなく、周囲の組織を損傷する可能性がある。Hassan Albadawiらは、LATTEと呼ばれるイオン性溶液に基づく別のアブレーション法を開発した。これはアブレーション薬と化学療法薬を両方、腫瘍に直接送達できる。研究チームは、LATTEの注入により、HCCのラットおよびウサギモデルで単独でも化学療法薬ドキソルビシンとの併用でも腫瘍が縮小したことと、切除されたヒト腫瘍12個において迅速に癌細胞が殺傷されたことを明らかにした。「LATTEの安全なプロファイル、安い費用、簡単な使用法、および繰り返し行える柔軟性により、この技術を医師が魅力的だと思うことを期待している」とAlbadawiらは述べている
###
Journal
Science Translational Medicine