News Release

現在のコレラパンデミックの大きくそれた経路をチャート化する

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

François-Xavier Weillらが、拡張的ゲノムデータを用いて、最も被害を受けているアフリカ大陸全体における、7回目の(現在の)コレラパンデミックの経路をチャート化した。Weillらは、知見を報告書に示し、将来的なコレラの制御に関する情報が得られる可能性のある詳細な情報源を提供した。過去の病気だと考えられていたが、コレラ、すなわち致死的な体液喪失を引き起こしうる急性Vibrio cholerae感染症は、世界の多くの地域で被害を起こし続けている。7回目のコレラパンデミックは1961年に始まり、南アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、カリブ海中に広がり、その結果、毎年21,000~143,000人が死に至っていると推定されている。これまでのコレラ伝播に関する調査では、この病気がどのようにして大陸全体に広がったのかに関する完全な状況は説明できていなかった。今回、Weillらが、49年間にアフリカの45ヵ国のVibrio cholerae集団から分離された1,070個のゲノムデータを解析し、7回目のパンデミックの拡大が、すべて単一の系統、すなわちエルトール系統を起源としていることを明らかにした。エルトール系統は、1970年以降11回以上2つの主な地域(西アフリカおよび南東アフリカ)に導入され(主にアジアから)、最長28年間継続した流行を引き起こした。さらに、最近5回のアフリカへの導入には、1980年代初頭に発見された最初の耐性集団による多剤耐性細菌亜系統が関与していた。2000年以降、これらの適応力の高い集団が最終的に薬剤感受性コレラ集団と置き換わったが、Weillらはこれは、この期間中にさまざまな抗菌薬を大量に使用したことと関連しているという仮説を立てている。興味深いことにWeillらは、遺伝的タイムラインが、気候および環境因子が関連していることを示した研究ではなく、ヒト関連因子とコレラ伝播を関連づけた研究を支持していると述べている。 2つ目の別の報告では、Daryl Dommanらが、ほぼ100年間この地域にパンデミックや世界的なコレラがなかったにもかかわらず世界最大のコレラ流行のうち2つが生じた、ラテンアメリカのコレラの起源と広がりを検討した。ラテンアメリカでこの病気の拡大を追跡することは、パンデミックと地域のコレラ系統を区別し、どちらがコレラの流行の主因であるかを明らかにするユニークな機会となる。Dommanらは、全ゲノムシーケンシングを用いて、40年間にアメリカ中から分離された252個のコレラ集団の特性評価を行い、164株がパンデミックエルトール型で、88株は異なることを明らかにした。解析によれば、パンデミックV. choleraeが両方の主要な流行の単独の原因であった。対照的に、同定された地方の株(7個以上あった)は、パンデミックコレラの特性とは異なる疾患特性、例えば、爆発的な流行ではなく散発的な感染と短期間の流行を引き起こすこと、そして環境リザーバー(湾岸など)に住み着いた時のみに長期的な幅広い疾患を引き起こすことなどと関連していた。著者らは、どの系統が特定のコレラ流行パターンの原因なのかを深く理解することで、流行を標的とした公衆衛生的な対応ができると述べている。

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