News Release

周期時変システムの数理モデル化に関する基礎理論の構築

Peer-Reviewed Publication

Kumamoto University

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Procedure of LPTV system identification

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Credit: Hiroshi Okajima, Kumamoto University

[背景]
制御工学分野や AI 分野などでは、扱う対象の数理モデルに基づいて各種設計がなされます。数理モデルを正確に求めることは、制御を適切に行う上で有用です。数理モデルの導出には、入力データと出力データを用いてシステムの動作を表すモデルを導出する「システム同定理論」を用いることが一般的です。この理論は、システムの特性が時間によって変化しない、線形時不変系と呼ばれる汎用的な対象を扱える枠組みでは広く研究されており、システム同定理論に基づいて数理モデルを得ることは比較的容易です。しかし、対象が、システムの特性が時間とともに周期的に変化する周期時変系と呼ばれるシステムになった場合、モデルの導出が極めて困難になります。従来、周期信号を利用したモデル化手法などが提案されていましたが、理想的な環境下での推定であっても精度が良くありませんでした。周期時変システムの例としては、周期軌道を描く宇宙機などが挙げられます。また、自動運転車や産業ロボットのように複数の計測周期を持つマルチレートセンサ系も周期時変システムに該当し、このような対象の数理モデル化は、複雑な制御を実現するために必要不可欠です。

[成果]
本研究では、周期時変システムを時不変システムとして扱える「サイクリング」と呼ばれる手法を利用しています(図1)。サイクリング手法は 2000 年以前に提案されていますが、システムの次元が周期倍に増加することもあり、これまであまり活用されていませんでした。本研究では、まず、サイクリング表現された周期時変システムのマルコフパラメータに関する重要な性質を導きました。この導いた性質を活用することで、状態空間表現されたモデルを適切に座標変換し、元の周期時変システムに対する数理モデルを構築します。従来の手法とは異なり、周期信号を利用しないため、簡単に数理モデル化が可能となります。結果は MATLAB シミュレーションにより検証し、高精度なモデルが得られることを確認しています。

[展開]
背景で述べたように、マルチレートセンサ系では入出力の組を直接入手できないため、本研究の手法をそのようなシステムの数理モデル化に応用することも可能です。数理モデルが与えられていることを前提とした設計理論は数多く存在するため、数理モデルを高精度に求める本研究の成果は、工業分野や科学技術分野における技術力・研究力の向上に寄与することが期待されます。


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