News Release

知識ギャップを埋める:新しい研究で、原生代の真核生物の多様性とそれをもたらした環境要因が明らかに

Summary author: Walter Beckwith

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

先進的ツールと化石データセットの拡張のおかげで原生累代の真核生物の多様性はさらに明確になったものの、その定量化は難しい。今回の研究結果から、地球のクライオジェニアン紀における強烈な氷河作用が、25億から5億3,800万年前のこの累代に、初期真核生物の進化と多様性に極めて重大な変化を引き起こしたことが示された。この研究は、地球の環境変動と初期生物の進化軌跡の相互作用を強調している。全世界の化石多様性を定量化することで、地球上の生物の進化史、及び環境変化とのその関係を知る際の貴重な手掛かりが得られる。このことは、顕生累代(5億3,800万年前から現在まで)における有名な大量絶滅イベントとそれに関連した環境変動が例証している。原生累代にも、超大陸の形成・分裂から地球のほぼ全域を凍結させた広範囲にわたる強烈な氷河作用まで、地球上では重大な構造的及び環境的変化があった。しかし、原生代の生物、とりわけ真核生物の全世界の化石多様性に関する私たちの知識は、その化石データが一貫性に欠けるうえに年代制約も不明確なため、限られている。このことが初期真核生物の進化の軌跡を解明する研究の妨げになっている。最近、古生物学的及び地質年代学的データセットが向上し、加えて、制約付き最適化(CONOP)アルゴリズムのような新しいツールも活用することで、化石多様性はより正確に復元できるようになった。実際、これらの方法で、様々な層序学的データの統合が促進され、年代を測定できていない化石産出層という制限も回避できる。Qing TangらはCONOPプログラムと全世界的な化石真核生物データの編集を使って、原生代とカンブリア紀初期の真核生物の化石種の高分解能多様性曲線を作成した。その結果、地球の状態が安定し、生物学的激変がほぼないというのが特徴の「退屈な10億年」に、種の豊富さがゆっくりと増加したことが明らかになった。しかし、それに続くクライオジェニアン紀の氷河作用は真核生物に大きな影響を与えた。今回の研究結果によると、クライオジェニアン紀は生物多様性に変化をもたらした主要要因で、多様性が高まり、代謝回転の速度が上がり、多数の適応放散や絶滅も起こったエディアカラ紀への画期的な移行を示唆しているという。

 

研究インテグリティの問題に関心のある記者の皆様向けに、著者らは次のように述べている。「古生物学の分野では透明性あるデータ共有が主要優先事項です。古生物学は主に標本に基づく科学であるため、再現性は標本及びデータ(CTデータ、画像、データベースなど)の利用可能性に大きく依存しています。したがって、標本とデータの保管場所についての詳細なプロトコルが極めて重要で、大半の学術誌では、標本とデータの利用可能性についての要件が定められています。こういった事は、全ての査読付き学術誌で共通して実践されるべきでしょう。」


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