News Release

バイオマスを原料とする生分解性エアロゲルで持続可能な放射冷却を目指す

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究の報告によると、ゼラチンとDNAから作られたエアロゲルは太陽光反射率が100%を超え、優れた放射冷却効果を発揮する。しかも、生分解性も備えているという。この斬新なアプローチは、高性能の次世代放射冷却材料への道を開き、この分野における環境に優しい進歩を促進するものである。急速に温暖化する世界に適応するには、持続可能でエネルギー効率が良く、環境に配慮した冷却技術が欠かせない。従来の冷却システムと比較すると、パッシブ放射冷却技術は消費エネルギーが少なく、温室効果ガスの排出も少ないため、持続可能な熱管理戦略となりうる。しかし、多くのパッシブ冷却戦略に必要となるポリマー材料は、長期安定性に欠けたり、リサイクルできなかったり、有害な化合物を含んでいたりする。さらに、石油化学由来のポリマーは、固有の太陽光吸収のせいで、昼間の光学的放射冷却に用いる場合には課題に直面することが多い。Jian-Wen Maらは、DNAとゼラチン(GE)の相互作用を利用して、大きな冷却効果をもつ光輝性バイオマスエアロゲルを発表した。Maらは、DNAとGEを組み合わせて規則的な層状エアロゲル構造にすることで、独特の蛍光および燐光の発光挙動を通じて、平均可視光反射率104.0%を達成するパッシブ放射冷却材料が生成されることを見出した。この構造ならば、強い太陽光照射下でも周囲温度を16℃下げることができる。さらに著者らは、これらのエアロゲル(バイオマス原料のみから水中溶接によって大規模かつ効率的に製造されたもの)は、使用中に環境に悪影響を及ぼすことなく、優れた修復性、リサイクル性、生分解性を誇ることを示している。関連するPerspectiveではChangyu ShenとXianhu Liuが、「パッシブ放射冷却は、省エネ活動における主要な革新戦略として注目を集めている。しかし、このアプローチが環境へ及ぼす影響を見落とさないことが重要になる。バイオポリマー(を原料とする放射冷却材料)を採用して環境汚染を軽減することは、1つのアプローチである」と述べている。このPerspectiveでは、この新材料のいくつかの弱点についても強調している。


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