沖縄県恩納村にある沖縄科学技術大学院大学(OIST)キャンパス。その南西端に広がる約1万7000平方メートルの土地で、沖縄および日本におけるイノベーションや起業家支援の取り組みが進んでいます。
建設にあたっては、OIST、工事業者、地域行政・住民の協力とチームワークが不可欠です。3月19日、新たなスタートアップ・インキュベーション施設2棟の建設着工を記念して、土地を清め、プロジェクトの安全と繁栄を祈願する起工式を執り行いました。
OIST設立当初から、メインキャンパスのこのエリアは、学術界、産業界、起業家、専門家、政府関係者、投資家がつながる研究開発(R&D)ゾーンを作ることが計画されていました。
「これはイノベーションのために設計されたコミュニティー・スペースであり、専門家が共に働き、アイデアを交換し、解決策を見つけることができる場所です。プロジェクト初期段階の実証実験や有望なスタートアップ、さらなるイノベーションの促進に利用される予定です」と、ギル・グラノットマイヤー首席副学長(技術開発イノベーション担当)は話します。
新施設はコワーキングスペース、ウェットラボ、ドライラボ、会議室などを備え、2019年に開設した既存の小規模インキュベーション施設の向かいに建設されます。これらの施設は、起業家が事業の可能性を評価し、プロトタイプを開発するための環境を提供します。
概念実証から新境地開拓へ
OIST Innovationは、基礎研究と社会実装のギャップを埋めるために取り組んでいます。多くの場合、有望なアイデアや初期段階のプロジェクトはこのギャップに苦しんでいます。OIST Innovationは、この溝を埋めることで世界規模の課題を解決するための技術開発を支援しています。さらに、関係者と協力することで、イノベーション実現のためのプロセス全体を支援・強化し、産学官の強力なパートナーシップの確立を目指しています。
「これまで、500平方メートルのインキュベーション施設で概念実証に成功しています。多くのスタートアップを惹きつけ、OISTの成長著しい起業家コミュニティーに多くのサービスを提供してきましたが、創造性を促進し、より良いスペースを作るために規模を拡張する必要があります。建設する新しい施設は、イノベーション拠点にさらに2,200平方メートルのスペースを提供します」とグラノットマイヤー首席副学長は話します。
OIST Innovationは、沖縄、国内、海外から新施設に入居するスタートアップをサポートします。現在、既存施設には、県内や国内のスタートアップや支援機関など約50社が入居しています。
「私たちは、ステークホルダーが集まる場を作ることでイノベーションを促進したいと考えており、このような『イノベーション・プレイグラウンド』というコンセプトが非常に魅力的だと感じました。OISTはゼロから事業をスタートさせたので、他大学と同じことをする必要はありませんでした。私たちのビジョンは、キャンパス内に外部の訪問者・協力者を含めたイノベーションのクラスターを作ることです」とローレン・ハ准副学長(技術開発イノベーション担当)は説明します。
OISTのミッションと戦略計画への貢献
OIST Innovationの取り組みにとって不可欠なのが、OISTコアファシリティです。OISTコアファシリティとの連携を希望し、キャンパス内の設備やサービスを利用したいと考える学外の関係者に、OISTコアファシリティを利用していただけるようにする予定です。OISTコアファシリティやOIST Innovationを通じて、学外の人々と実りある関係を構築するとは、沖縄でイノベーションを促進する拠点としての役割を果たすというOISTのミッションと強く結びついています。
ハ准副学長は「現在、OISTの研究棟は一般利用されていません。私たちの目標は、共有スペースに外部の人を迎え入れる空間を作り、地域社会とのつながりを育むことです。地域から人々が集まるような、活気ある知識交換のハブを作りたいのです」と語り、新しい施設を多くの人に活用してもらうことの重要性を強調します。
「施設の拡大は単なる物理的な拡張だけではなく、関係を育むことでもあります。人と場所をどのようにつなげるかを考えており、移動手段は重要な要素の一つです。自動車は一般的な移動手段ですが、持続可能性を高めるため、自動運転EVシャトルのような革新的な代替手段を検討しています。このような取り組みは対話を促し、常識を超えて考える機会を与えてくれます」とハ准副学長は説明します。
OIST Innovationの今後の躍進にご期待ください。 OIST Innovationの活動やスタートアップに関する詳細は、こちらからご覧いただけます。