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神経発達症の特性がある女子高校生は月経前不快気分障害の症状が悪化する

神経発達症の特性がある女子高校生において、月経前の不快な気分が学校適応にどのような影響を及ぼすかを調査

Peer-Reviewed Publication

Tokyo University of Agriculture and Technology

神経発達症の特性がある女性は、月経前不快気分障害(PMDD)に罹患する可能性が高いことが研究者らによって示されていますが、このことが高校での適応にどのような影響を及ぼすかはまだ不明です。この問題を明らかにするため、日本の研究者らは女子高校生と女子大学生を対象に調査を行いました。その結果、PMDDは、閾値以下の注意欠陥・多動症(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)の特性がある女子高校生に学校適応において大きな困難をもたらす可能性があることが明らかになりました。彼女らへのより良い支援システムの開発が求められます。

月経前症候群(PMS)は、月経のある女性のほとんどが、人生のどこかの時点で罹患する、比較的一般的な症状です。通常、PMSは気分の落ち込み、イライラ、腹部膨満感、疲労感など様々な症状を引き起こします。さらに、PMSは特定の精神疾患やパーソナリティ障害の症状を悪化させる傾向があります。場合によっては、PMSは月経前不快気分障害(PMDD)につながることもあり、これは日常生活活動や対人関係を損なう抑うつ障害群の一種です。

いくつかの研究によると、自閉症スペクトラム症(ASD)や注意欠陥・多動症(ADHD)などの発達障害や知的障害がある女性は、月経異常、PMS症状、PMDDになりやすいことがわかっています。また、発達障害のある思春期の女性は、気分障害が悪化するリスクが高く、高校での適応に影響を及ぼす可能性があります。残念なことに、閾値以下の神経発達症を持つ女子高校生において、これらの関連を示した研究はありませんでした。

このような背景から、東京農工大学の三浦巧也准教授と東京学芸大学の橋本創一教授は、この知識のギャップを解決するための研究を行いました。本研究成果は、2023年11月28日に日本発達障害学会発行の英文誌「Journal of Developmental Disabilities Research」に掲載されました。

研究者らは、日本の高校生および大学1・2年生500人を対象に、アンケート調査を実施しました。調査項目は、閾値以下の神経発達症(ASDおよびADHD)の特性に関する7項目、PMDD症状に関する12項目、学校適応に関する2項目でした。アンケートに使用された尺度の精度は、項目反応理論によって検証され、調査項目が調査対象の特性や症状を効果的に測定していることが確認されました。

研究者らは、閾値以下の神経発達症の特性がある女子高校生は、女子大学生や定型発達の女子高校生に比べて、月経前の不快感が強い傾向があることを発見しました。さらに、三浦准教授が「閾値以下のASD特性がある女子高校生は、抑うつ気分や絶望的な気分を持ちやすく、不安や緊張のレベルが高かった」と述べているように、ASD特性がある女子学生とADHD特性がある女子学生の間にも興味深い違いがあることがわかりました。また、閾値以下のASD特性がある女子高校生は、学校生活や学習面で困難に直面しているのに対し、PMDDが媒介し閾値以下のADHD特性がある女子高校生は、学校での人間関係の構築に支障をきたしていることも示されました。

本研究で得られた知見は、閾値以下の神経発達症の特性がある女子高校生が月経前に直面する不快な気分に対する支援について、新たな課題に光を当てるものです。これらの知見は、これらの生徒がよりよく学校に適応し、メンタルヘルスを改善できるような方策を開発するために、学校の運営者や教師が同様に考慮すべきものです。この点について、三浦准教授は次のようにコメントしています「この結果は、閾値以下の神経発達症の特性がある女子高校生とその同級生との良好なコミュニケーションを可能にする教室ベースの支援技術を開発することが喫緊の課題です。」

本研究はリプロダクティブ・ヘルス教育を最重要視し、発達特性による困難を考慮したシステムの開発に役立つことが期待されます。そのようなシステムは、実際に影響を受けている女子高校生がよりよく学校で適応し、学校での経験をより楽しく有機的なものにするのに役立つことでしょう。

 

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東京農工大学について

東京農工大学は、日本の東京にある著名な高等教育機関です。およそ150年の豊かな歴史と、様々な分野への貢献で高い評価を得ている東京農工大学は、研究とイノベーションへの熱心な取組みが知られており、農学、工学、および関連分野の幅広い学術プログラムを提供しています。科学の進歩を促進し、急速に変化する世界の課題に取組むというコミットメントのもと、東京農工大学は科学と社会を織り交ぜ、グローバルに持続可能な未来を創造するよう努めています。

Website: https://www.tuat.ac.jp

 

三浦巧也准教授(東京農工大学)について

臨床発達心理士、臨床心理士、学校心理士、公認心理師。2014年に東京学芸大学で博士号を取得し、現在は東京農工大学大学院工学研究院准教授。学校臨床心理学、臨床発達心理学に関する研究を行っており、同分野に関する55以上の論文、著書がある。

 

助成情報

本研究はJSPS科研費23K02567、20K14064の助成を受けたものです。

 


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