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超低質量M型矮星の近くを周回している海王星質量の系外惑星を発見

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

新しい研究によると、超低質量のM型矮星LHS3154を周回する海王星質量の系外惑星が発見されたことにより、惑星形成の理論モデルに疑問が投げかけられたという。地球の少なくとも13倍の質量があるこの惑星は、太陽の9分の1の質量をもつ恒星の近傍を周回している。このことは、小さな恒星がこれまで考えられていたよりも大きな惑星を伴う場合があることを示している。惑星は、生まれたばかりの恒星を取り巻くガスと塵からなる、高密度の星周円盤の中で形成される。星周円盤内にある物質の量によって、その中で形成される惑星がどれだけ大きくなれるかが決まる。原始惑星系円盤に含まれる塵の質量は主星の質量とほぼ一致するため、惑星形成理論では、赤色矮星(M型矮星:最も質量の小さい恒星)は、海王星(地球の17倍の質量)よりも大きな系外惑星を伴うことはないとされている。いくつかの超低質量矮星の周囲で大質量惑星候補が検出されているが、それらはすべて公転周期が非常に長い。Guõmundur Stefánssonらは、ハビタブルゾーン惑星ファインダー(HPF)分光器を用いた近赤外線での正確な視線速度観測を行って、超低質量のM型矮星であるLHS3154の近傍を周回する巨大な系外惑星を検出したと報告している。LHS3154を観測したところ、海王星とほぼ同じ質量をもつ系外惑星が公転周期3.7日で周回していることを示すドップラー偏移が見られた。著者らによると、コア集積メカニズムや重力不安定メカニズムといった現在の惑星形成理論では、これほど巨大な惑星がLHS3154の周りに形成されることを説明するのは難しいという。また、Stefánssonらは惑星形成シミュレーションを実行し、この惑星を形成した原始惑星系円盤内の塵の量は、低質量星を取り巻く原始惑星系円盤で通常観察される量の10倍以上必要であることを示した。関連するPerspectiveではFrédéric Massetが、LHS3154系が惑星形成理論にどのような疑問を投げかけているかを論じている。

 

この論文にご興味のある記者の方へ:2019年9月にはMoralesらが、超低質量のM型矮星を周回する高質量惑星GJ3512bを検出したと発表しています(ただし、GJ3512bはLHS3154よりもはるかに長い公転周期をもつ)。https://www.science.org/doi/10.1126/science.aax3198


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