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高効率で冷却性能の高い電気熱量ヒートポンプ

Peer-Reviewed Publication

American Association for the Advancement of Science (AAAS)

高効率で20ケルビン(K)の温度差を発生できる固体電気熱量冷却装置が開発された、と新たな研究が示している。この研究結果は、電気熱量冷却が他の固体冷却方式と競合でき、環境に悪い蒸気圧縮冷却に代わる有望な選択肢となりうることを示している。エアコンやヒートポンプシステムなどの冷却装置は、全世界の電力の約20%を消費していると推定される。こうしたシステムのほとんどは蒸気圧縮技術で稼働しているが、この技術は比較的効率が悪く、環境に有害なフッ素冷媒を必要とする。固体電気熱量材料による冷却は、蒸気圧縮冷却の魅力的な代替策だ。電気熱量技術は、強誘電体材料を電場にさらすと、材料の分極に変化が生じ温度が変化することに基づいている。この作用が、高効率の冷却技術の基礎を成す可能性がある。しかし、商業的に競争力のある電気熱量装置はこれまで実現されておらず、明らかに潜在的利点があるもかかわらず、他のほとんどの固体冷却技術に後れを取っている。今回、Junning Liらは、最大温度範囲20.9 K、最大冷却能力4.2ワットを発生することのできる、流体に基づくダブルループ電気熱量ヒートポンプを提示している。著者らによると、これまでで最高の電気熱量装置に比べて、その温度範囲は50%大きく、冷却能力は15倍である。さらにLiらは、このデバイスのカルノー効率(冷却システムの理論上の最大効率)は、多くの蒸気圧縮冷却装置および熱量冷却装置を上回る64%に達することを示している。関連するPerspectiveでJaka Tušekは、「このシステムの性能は、しばしば20 Kを超える温度範囲で少なくとも数百ワットの冷却能力が求められる、多くの実用の要件には届かないかもしれないが、Liらの研究は、電気熱量技術は非常に将来性が高いことを明確に示している」と述べている。


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