News Release

創造性の創造:子どもたちには新しい絵の具を!

Peer-Reviewed Publication

Japan Advanced Institute of Science and Technology

Full Composition

image: Example of full composition painting convert to the binarized image view more 

Credit: JAIST

子どもを育てる親や教師には見逃せない情報の第2弾です。北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)のウランと永井由佳里による,デジタル画像分析技術を活用した新しい方法による子どもたちの創造性分析の研究論文が発表されました。この研究は,子どもたちが,絵の具を通して想像力を表現するときに直面するいくつかの重要な課題に光を当てています。この研究は,子どもの心理の発達に対する具体的な洞察を示し,教育者が子どもの認知能力,空間能力,芸術表現能力を向上させるための方策を提供します。

絵を描くことは,世界中の子どもたちが楽しむレクリエーションです。それぞれの絵には,子どもの知覚の特徴と創造性が現れています。例えば,画面内のオブジェクト間の空間的な関係は,絵画の経験と技術力を表します。作品を詳細に分析すれば,子どもたちの創造性を伸ばす手がかりが正確につかめます。しかし,これまで子どもたちの作品の評価と分析は,アーティストや批評家の訓練された目に依存しており,主観的に判断されるしかありませんでした。この習慣は世界各国に共通している創造性育成の壁です。

ウランと永井は,こうした習慣から脱却する方法として,徹底的に分析できるデジタル分析プロセスを開発しました。中国の小学校で子どもたちが描いた絵を多数収集し,開発した方法をテストしました。作品タイプの分類や,そのコンテンツ,スケール,パターン,詳細,および絵画内のオブジェクト間の関係が,客観的に定量化され計算されます。

この研究のサンプルである中国の182人の女子と234人の男子の描いた作品の分析から,男子と女子は描画において異なる態度をとり,女の子は男の子よりも実際のオブジェクトをより正確に模倣できる傾向が示されました。また,絵画指導を受けていない子どもは,空間的関係を認識して模倣する能力が低いという傾向が示されました。子どもたちが好き勝手に絵を描く自由も大切ですが,認知能力の開発の面では,教育者の関与は非常に重要です。教師や親が適切に指導したケースでは,細部の欠如とオブジェクトを模倣できないという問題は解決に向かうことが示されました。

創造性を創造するのは「子どもたち」です。子どもたちの創造性が未来を拓く「鍵」だとしたら,この研究は美術教育の改善への示唆を与えます。教育者たちは子どもたちの認知発達に役立ついくつかの重要な要素に焦点を当てていることが指摘されました。絵を描いているプロセスでの教育者や家族が関与は影響を与えますが,その方法が大事です。例えば,野外にあるオブジェクトに気づくように話しかけることで,子どもは作品だけではなく自然環境に対する意識を高めることができます。オブジェクトのサイズ,および大きさや空間を認識してそれを制御する方法に焦点をあてることで,子どもたちは自分の作品の欠点を見つけ,改善する工夫をするようになります。特に,オブジェクトを模倣する訓練をすると,絵の全体的な完成度を高める結果が示されました。また,構図と描き方の指導は,絵画への興味を高め,子どもたちの苦手意識を軽減していく効果があることが分かりました。教育者自身も冒険者であらねばなりません。習熟はもちろん大切ですが,新しい絵の具への冒険が創造性を育むチャンスでしょう。

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