News Release 

様々な色のグレア錯視に対する瞳孔反応

青いグレア錯視は最も明るく知覚され、大きく瞳孔縮小する

Toyohashi University of Technology

豊橋技術科学大学 情報・知能工学系とオスロ大学の研究チームは、ヒトが明るさの錯視(グレア錯視)を見ているときの瞳孔(眼球にある、いわゆる黒目と呼ばれる部分)の大きさを計測しました。瞳孔は、暗い場所では散大し(散瞳)、明るい場所では縮小して(縮瞳)、目に入る光を調節する働きを持ちます。一方で、ヒトが錯覚で明るく感じたときにも同様に縮瞳することが知られています。本研究は、様々な色相のグレア錯視において、青色の錯視が最も明るく知覚され、さらに大きな瞳孔の縮小が知覚と関連して生じることを見出しました。本研究成果はオランダの科学誌 Acta Psychologica に7月 6日付けで掲載されました。  

研究チームは、最も空に関連のある色は青で、太陽の光は輝度の勾配を持つように見えるので、青いグレア錯視は最も明るく知覚されるのではないかと考えました。つまり、視覚システムにおいて、生物学的な背景を持つ予測が入力を理解するために重要であると考えたのです。研究の結果、青いグレア錯視は他の色と比べて明るいと評価され、またその錯視を見ているときには大きな瞳孔縮小が見られました。これは錯視の効果を無くした視覚刺激に対しては観測されなかったので、グレア錯視に特異的な効果であると考えられます。  

「瞳孔が縮瞳・散瞳するような対光反射の反応は、脳処理において非常に簡潔な経路をたどっています。本研究で得られた青色グレア錯視に対する瞳孔反応も同様に、比較的早い反応時間で、他の色のグレア錯視よりも大きな縮小を示していました。したがって、そういった色依存の錯視に対する早い瞳孔反応は、進化の過程で我々は獲得してきたことを示すものかもしれません。また、瞳孔の縮瞳と個人の明るさ知覚には相関関係が見られました。このことから、明るさ知覚における個人差を評価する簡単なツールとして、瞳孔反応が利用できるのではないかと考えています。」と筆頭著者である博士後期課程の鈴木雄太は説明します。  

研究チームのリーダーである南哲人准教授は「主観的な明るさ知覚は、本人にしかわからないといった、いわゆる一人称視点での知覚報告に頼るしかありませんでした。今回、明るさ知覚と瞳孔縮小との相関が見られたことから、客観的な明るさ知覚を評価する指標として新たな展開が期待できます。」と説明します。  

プロジェクトリーダーの中内茂樹教授は「瞳孔反応は非接触計測によって心的状態を探るための有力な手がかりとして注目されており、ヒト同士のコミュニケーション、ヒトとロボットのコミュニケーションを飛躍的に発展させるイノベーティブな基盤技術となるでしょう」とコメントしています。

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本研究は、文部科学省・日本学術振興会科学研究費挑戦的研究(開拓) (17H06292)、基盤研究B(17H01807)、特別研究員奨励費(18J11571 )の助成によって実施されたものです。また、筆頭著者の鈴木は文部科学省・日本学術振興会の実施する博士課程教育リーディングプログラムの支援を受けました。

Reference

Y. Suzuki, T. Minami, B. Laeng, and S. Nakauchi, “Colorful glares: Effects of colors on brightness illusions measured with pupillometry,” Acta Psychologica, vol. 198, p. 102882, Jul. 2019.

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