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環境DNA調査により雄物川本流で絶滅危惧IA類のゼニタナゴの繁殖地を確認!

Kobe University

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IMAGE: (a) 採捕されたゼニタナゴ成魚 上:産卵管の伸長した雌 下:婚姻色が明確な雄 (b) 二枚貝に産卵されたゼニタナゴの卵 view more 

Credit: Kobe University

神戸大学大学院博士前期課程 坂田雅之(さかたまさゆき)、パシフィックコンサルタンツ株式会社 真木伸隆(まきのぶたか)、秋田県立大学 杉山秀樹(すぎやまひでき)客員教授、神戸大学 源利文(みなもととしふみ)准教授からなる研究グループは、広域の環境DNA調査と採捕調査の組み合わせによって秋田県の雄物川本流で絶滅危惧種IA類のゼニタナゴの繁殖地を発見しました。

本研究成果は、平成29年11月14日付けで、国際科学誌「The Science of Nature - Naturwissenschaften」電子版に掲載されました。

【ポイント】

  • 近年発展する環境DNA分析手法と採捕調査を組み合わせることにより、秋田県の雄物川本流で絶滅危惧種IA類(ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)のゼニタナゴの繁殖地を確認しました。

  • 環境DNA分析手法で広域をスクリーニングした上で、絞り込んだ範囲で採捕調査を行うことにより生息地を確認するため、従来よりも低コストで生息地の特定を行うことができ、他の希少種への応用も期待されます。

  • ゼニタナゴは、全長8cm程度の日本固有のタナゴ属魚類で、タナゴ属としては例外的に、秋にタガイなどの二枚貝に産卵します。

  • かつては大河川である利根川や北上川、これらの河川に接続する霞ヶ浦や伊豆沼等、青森県を除く東北、関東の1都11県に生息していましたが、現在では、秋田県、岩手県、宮城県等の限定された範囲でのみ確認されています。

  • ゼニタナゴが本来の生息環境である大河川に生息しているのは、現状では雄物川だけであり、今回、雄物川本流でゼニタナゴの成魚が確認されたのは11年ぶりとなります。

【研究成果

背景

水域での生物調査は、多大な時間や労力がかかるため、広域調査をするには高コストであることが課題でした。これを解決するのが環境DNA分析手法です。湖沼・河川などの水環境中には、生物のフンや表皮などから溶け出たDNA断片(環境DNA)が存在しています。ゼニタナゴなどの希少種は低密度で生息していると推測されることから、従来の調査手法では発見することが難しく、環境DNA分析の手法が特に有効であるとされています。本研究チームは、秋田県を流れる一級河川の雄物川で絶滅危惧種ゼニタナゴの新規繁殖地を発見するために、広域の環境DNA調査とその結果にもとづいた採捕調査を行いました。

研究手法

雄物川の本流の112kmにわたる区間において、昨年8月に合計3日間で99地点の表層水の採水を行い、採水したサンプルから環境DNAを取り出しました。ゼニタナゴに特異的な検出系を用いてそのDNAについて測定し、その後DNAが検出された地点において定置網とセルビントラップを仕掛け、成魚の生息を確認しました。さらに、ゼニタナゴの産卵基質である二枚貝を仕掛け、その地点で繁殖しているかを確認しました。

研究結果

雄物川本流99地点のうち、2地点からゼニタナゴのDNAが検出され、うち1地点で成魚が雌雄各1個体ずつ採捕されました。また、同じ地点で二枚貝に産卵が確認され、ゼニタナゴが繁殖している地点を特定することが出来ました。

今後への期待

本研究結果は、コスト面や信頼性において環境DNA手法と採捕調査の組み合わせが希少種の生息地・繁殖地特定に非常に有効であることを示しています。特に、広域調査に長けている環境DNA手法と種の確認に確実な信頼性を有する採捕調査の組み合わせは互いに補完的で有効であることを示しました。今後は本種の保全に向け、より多くの繁殖地を探索することや、保全エリアの設定などに役立つことが期待されます。また、その他の広域に低密度で生息している可能性のある希少種や絶滅危惧種への応用可能性も期待されます。

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