Public Release: 

スーパーハイパワーシリコン電池の設計に向けて

より高いパワーと安定性を持つリチウム電池用の新し

Okinawa Institute of Science and Technology (OIST) Graduate University

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IMAGE: 左から)マルタ・アロ・レモン博士、ステファン・スタインハウアー博士、パナジオティス・グラマティコプロス 博士、ムックレス・ソーワン准教授... view more 

Credit: Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University

世界が化石燃料から再生可能エネルギーへの方向転換をしている一方で、私たちはかつてないほど、エネルギーを大量に消費する機器に頼るようになっています。そんな中、高性能電池の必要性はますます高まっていると言えます。多くの携帯電子機器には、リチウムイオン電池が電源として使われていますが、リチウムイオン電池は発火性があり、時には爆発する危険性もあります。実際、最新モデルのスマートフォンでもそのような事故が起きました。その様な事故を防ぐための現時点の解決策として、バッテリーの陰極(―)(反対側は陽極(+))をカーボングラファイトのフレームで包み、それによってリチウムイオンを絶縁するという方法があります。しかしながら、この方法では、物理的な破砕を避けるために電池サイズが小さなものに限られるため、電池に蓄えられる容量が制限されてしまいます。

これに代わるより優れた材料を模索する中で、シリコンには、電池容量の点において、リチウム電池用としてグラファイトに優る大きな利点があります。リチウム原子ひとつには、炭素原子6個が結合する必要がありますが、シリコン原子は同時に4個のリチウム原子に結合でき、電池容量を10倍以上にできるのです。 しかしながら、多くのリチウムイオンを捕捉できるということは、陰極の体積が300%から400%も膨張することを意味し、破砕や構造上の完全性が失われる可能性につながります。この問題を克服するべく、OISTの研究者らは現在、物理的破損を防止しながらシリコンの利点を維持するため、シリコンのナノ構造レイヤー(層)上に構築した、多層のケーキのような陰極の設計をAdvanced Science誌に発表しました。

この新しい電池の開発においては、パワーの向上、すなわち充電・放電の耐久性の機能向上をも目指しています。

「現時点におけるバッテリー技術の目標は、充電速度と出力を向上させることです。」と、本研究の筆頭著者であるマルタ・アロ・レモン博士は説明します。 「携帯電話やノートパソコンなら、長時間かけて充電するのも我慢できますが、電気自動車の充電ステーションで3時間も待ちたくはないでしょう。」

さらに自動車用のエネルギーということで言えば、信号や一時停止標識で停止した後すぐに車を発進させたい時、ゆっくりと前進する力ではなく、急加速させるパワーが必要です。 綿密に考案されたシリコンベース陰極の設計は、このような期待への解決策になるかもしれません。

OISTナノ粒子技術研究ユニットによる新たな陰極設計においての目的は、ナノ粒子の正確な合成とそれに伴うナノ粒子の物理的構造を、正確に制御する能力を構築することにあります。非構造のシリコン膜の層を、タンタル金属ナノ粒子でできた層と交互に堆積させ、シリコン層がタンタル層に挟まれたサンドイッチ構造にするのです。

「我々はクラスタービーム堆積法と呼ばれる手法を使いました。これにより必要な材料を、非常によく制御された形で、表面に直接堆積させます。 この方法は純粋に物理的であり、化学物質、触媒その他の結合剤は必要ありません。 」とアロ博士は説明します。

本技術では、陰極内の層のサイズおよび厚さを厳密に制御し、それにより陰極における電気的特性の微調整が可能になります。

ソーワン准教授が率いる本研究の成果は、ハイパワーであるにも関わらず、膨張を抑制し、優れたサイクル特性(電池が効率を失う前に充放電できるサイクルの量)を持った陰極です。さらに研究者らがシリコンのナノ構造の層を詳しく見ると、シリコンが粒状構造とともに多孔性を示し、構造化されていない非晶質シリコンと比較して、リチウムイオンがより速く移動することができ、それによってパワーを増していることがわかりました。 また、タンタルナノ粒子構造の層の間に存在するシリコンチャネルの存在は、リチウムイオンを構造全体へ拡散することを可能にします。 一方、タンタル金属の層は、膨張を抑制して構造的完全性を向上させてくれますが、現時点の技術では全体の容量を制限していました。

ただし、今のところ、この設計は概念実証の段階にあり、発電力とともに電池容量を向上させる余地が多く残っています。

「この研究は、非常にオープンな合成手法であり、様々な試行錯誤に値する多くのパラメータがあります。例えば、層の数や厚さを最適化し、タンタル金属を他の材料に置き換えてみようとも考えています。」 とアロ博士は述べています。

この技術を駆使しながら道を拓いていくことで、私たちの生活のいたる所に使用される未来の電池のソリューションが、これらナノ粒子の中から見いだされる可能性が大いにあるでしょう。

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